ヒト患者由来尿細管オルガノイドを用いた慢性腎臓病の病態解明と創薬
文責 森 雄太郎 Yutaro Mori
腎臓内科学分野テニュアトラック助教・文部科学省卓越研究員の森雄太郎です。当グループは文部科学省卓越研究員事業の方針に則り、腎臓内科学分野内でも独立した研究グループとして、内田信一教授のご研究とは完全に別テーマを推進しています。この例外的な独立環境をご許可いただいていることに、改めて深謝いたします。
当グループでは、慢性腎臓病(CKD)の病態解明と創薬:尿細管上皮細胞の細胞老化がSASPを介して炎症・線維化を増幅する学説(Mori Y, et al. Cell Metab 33:1042-1061, 2021)に基づき、細胞老化に伴う嫌気的糖代謝活性化がサイトカイン産生維持に寄与する機序、ならびにSGLT2阻害薬の腎保護作用との接点を検証しています。ヒト細胞を用いた疾患モデルを用いることで、動物モデルでの病態模倣を超えた「ヒトCKDで何が起こるか」を追求しています。また、もう一つの研究テーマとして、患者摘出腎由来尿細管オルガノイドの開発に世界で初めて成功し、加齢・細胞老化などCKDでの表現型の誘導にも成功しました。今後これらの患者由来オルガノイドを用いてヒトベースの薬効・毒性評価試験を提供する非臨床プラットフォームとして創薬支援に用い、大学発ベンチャー設立も計画しています。当グループは、ヒト由来実験型系を軸に、基礎から臨床への橋渡し研究を加速し、CKDの病態解明や創薬支援などの形で、技術の社会実装を行うことを目指しています。
最後になりますが、このような独立した環境のもと、自由に研究テーマを進めることを許していただいた内田信一教授に改めて御礼申し上げたいと思います。
グループメンバー:
| 研究責任者 | テニュアトラック助教・文部科学省卓越研究員 森 雄太郎 |
|---|---|
| 非常勤講師 | 森 槙子 |
| 大学院生 | 關口 裕太 |
| 学部学生 | 仲尾 祐輝/ 進藤 亮太/ 森田 一央織 |
| 技術支援員 | 今井 美沙 |
| 連携研究員 | 平塚 健/ 丸山 遥 |
| 客員起業家 | 萩原 慎 |
現メンバーで2022年より日本医師会医学研究賞を中心に合計24賞を受賞。文部科学省卓越研究員事業、科研費基盤研究(B)、AMED腎疾患実用化事業、JST創発的研究支援事業など研究費を1億円以上獲得。研究活動だけでなく、メンバーへの教育活動に積極的に取り組んでいます。