内田信一教授退官に寄せて
このたび内田信一先生のご退官にあたり、心よりお祝い申し上げます。私が研修医として歩み始めたのは、ちょうど内田先生が腎臓内科学教室の教授にご就任された年であることもあり、深い感慨を覚えております。研修医時代に内田先生からご指導いただいている様子は、一枚の写真として残っております。同期の石原(写真左)がこの写真をぜひ手元に置きたいと、まるで部活動の先輩にお願いするかのような気軽さで内田先生にメールをお送りしたところ、先生は大変気さくにご対応くださいました。そのやりとりは今でも同期の間で語り草となっております。
私が医師五年目に進路に迷っていた折、思い切って大学院カンファレンスへの参加をお願いしたところ、先生は快く受け入れてくださり、そのことが大学院進学を決意する転機となりました。大学院入学試験の合格発表直後、私が業務の合間に合否を確認できずにいたところ、医局会の席で突然先生に肩を叩かれ、振り向くと一瞬残念そうな表情を浮かべられました。しかし、実は合格しているのだという粋な種明かしに触れ、先生の温かいユーモアを感じたことを今も鮮明に覚えております。
その後基礎研究に進んでからは、コロナ禍直前の一年間、毎週行われた対面でのリサーチカンファレンスを通じて、「わかりやすく伝えること」や「意義のあるリサーチ・クエスチョンを立てること」の力不足を痛感し苦しみました。内田先生からすると「何をやっているんだ!」と苦虫を噛み潰すような思いを何度もされていたかと存じますが、常に冷静に、ときに厳しくご指導・ご鍛錬いただきました。コロナ禍以降、直接先生の前で発表できる機会は減ってしまいましたが、数カ月に一度の「内田先生カンファレンス(まとめリサーチカンファレンス)」で内田先生に胸を張って報告できる研究を仕上げたいという思いが、日々の原動力となっておりました。内田先生が大会長を務められた第67回総会での会長講演に接し、それまで私が十分に理解できていなかった内田先生のバックグラウンドの重厚さに、改めて圧倒される思いがいたしました。卓越した研究者として若手を導く教育者としての姿は、私の大きな指針となっています。
長年にわたり日本の腎臓病学を牽引され、多くの門下生を育ててこられた内田先生のご功績に、深い敬意と感謝を捧げるとともに、今後ますますのご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
思い出の写真
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思い出の写真1
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思い出の写真2
