内田信一教授退官に寄せて
内田先生、この度はご退官、誠におめでとうございます。光栄にも退官記念の寄稿文を執筆する機会を賜り大変恐縮ですが筆をしたためさせていただきます。初期臨床研修義務化初年度の卒業であった私は卒業後の初期研修及び後期研修を大学から離れて行ったにもかかわらず、卒後6年目に大学院生として腎臓内科に入局したときには快く迎えていただき、研究を正に一からご指導していただきました。先生からご指導いただいた論文の読み方、リサーチクエスチョンの立て方、仮説を検証するために必要な論点など、先生から直接ご指導を頂くことができたことは、今振り返ってみるととても幸せなことだったと改めて感じています。
大学院では超一流の研究で世界と戦うためには当然ですが実験の進捗、成果について非常に厳格でなかなか結果が出ず、停滞が続いた時のリサーチカンファレンスでは表向きは穏やかではあるものの、目の奥からは厳しさを感じる如くご指導いただき日々緊張していたことを覚えています。ただ1年半かけてES細胞まで製作したノックインマウスが誕生しなかった時には失意に沈む私を次のプロジェクトに進むことができるよう優しく促していただき、結果Hypertensionに論文が掲載されるところまで到達できました。ありがとうございました。
大学院卒業後、平塚共済病院に赴任してから現在に至るまで内田先生に頂いた言葉で記憶に残り、また強く実感しているのが「研究に専念できる環境は贅沢なことだ」「医科歯科大学腎臓内科の看板で仕事をさせて貰えていることに感謝しなければいけない」という言葉です。前者には大学院当時その有難さが十分に理解できていませんでしたが今となっては充実した日々を過ごすため、大きな成果を挙げるためには専念できる環境は必須だと時が経ちようやく分かるようになってきました。後者はご指導いただいた分臨床では医局に貢献しようと思っていた矢先に個人的な事情で医局にご迷惑をかけることとなりました。その際にも「平塚のことは心配するな、自分のことだけ考えて一番良いと思うことをするように」と温かい言葉を頂き、またわがままも聞いていただきました。大変ご心配おかけしました。その際だけでなくその後今でもお会いする度に「調子はどうだ」「大丈夫か」と気にかけていただきありがとうございます。
最後になりますが、これまでご指導いただいたことを胸に、これからはそのご指導いただいたものを少しずつ還元できるよう、腎臓内科医局の発展に微力ながら貢献できるよう精進したいと思います。内田先生、長い間ご指導ありがとうございました。
