絶対的な『頼れる』存在
人生においていつまでも頼れる存在がいてくださることは、とても有難いことある。若い頃には感じなかったけれど、年齢を重ね自分に降りかかる責任が大きくなるにつれ、親であったり、上司であったり、先輩の存在をとても有難いものと感じ、先達のご苦労を思うにつけ感謝の気持ちが湧くものだと感じます。
私にとって内田信一先生の存在は、まさに絶対的に『頼れる』存在でした。現在の東京都立広尾病院に腎臓内科立ち上げのため赴任してから早いもので15年が経過し、先生のお傍を離れてから久しくなりましたが、『いつでも困ったら相談をしに大学病院へ伺えば何か道を照らしていただける。』と、いつも心の中で『先生がいらっしゃるから。』と頼っていた気がしております。そんな絶大な存在が退官されることは、先生の今までのご苦労を思うにつけ喜ばしくもあり、やはり不安でもあり、いやが応にも自分たちがさらにしっかりしなければならないのだ、という自覚を促される出来事なのであります。
先生の発されるお言葉は、ハッとさせられるものが多く、その一つは今、私の日々の生活の信条にもなっております。大学院生時代に、先生が『体裁をとりつくろうな。』とポソッとお話されたことは今でも忘れません。その言葉には『しっかりとした土台が無いのに表面だけ取り繕ってはいけない。』であったり、『上辺だけで切り抜けず、しっかりと勝負をしなさい。』であったり、色々な意味が含まれていたのだろうと拝察いたします。今もその言葉を胸に刻み、自らを実際以上に大きく見せることの無いよう戒めております。
大学院時代に、私は出来の悪い院生でしたが大変ご助力を頂きました。私の拙い研究結果を論文に仕上げて頂いたことは感謝の極みであります。一番の思い出は、私の結果が思わしくなかった時にリサーチカンファレンスを迎えた際のことです。毎回、事前にスライドを見て頂いていたのですが、そのスライドが返却された時に、一枚のスライドが追加されていました。『俺はお前の努力を知っている。』という言葉が書かれたスライドだったかと思います。その頂いた言葉の『やさしさ』に、私は大変勇気を頂きました。そして私はその時こう思いました。『内田信一先生は、私の生涯のボスだ。』と。
内田信一先生、長い間私どもをお導き頂きまして、誠に有難うございました。今までのご厚情に心より感謝申し上げます。そして、これからもお体お大切に我々をご指導ください。
